2009年04月15日

今後の構造改革の進め方:一つの結論・マニフェスト選挙(その2)、4月15日投稿


●一つの結論・マニフェスト選挙(その2)……マニフェスト主要課題6項目の説明


【おことわり】マニフェスト主要課題6項目については、日本の針路・戦略不在システム「カイゼン」への道という表題の下で、その中心内容は既に説明済みである。ただ、此は約1年半から2年前のことで、当時はこの内容は、KY人間の発言として黙殺される状況にあったから、多くの方々は見過ごされていたと思われる。以下は、重複をいとわず、また、その後の世界的不況の進展もあり、現状打開策論議の進展もあって、筆者と同様の意見開陳がマスコミの一部に乗るようになったので、筆者もその意を強くして、重複をいとわず、あらためて以下に、6項目を主要課題とする理由説明を行うこととする次第である。

【項目毎の主張の背景説明】
@高額所得層の年金民営化=計算上の積み立て方式への移行を数年の移行期間で実現すること。
 a)年金制度積立金の不適切運用・不正使用を抑止する方法としては、現状日本の場合、一部民営化による計算上の積み立て方式移行以外には、その代案が見つからないのではないかと考える。そもそも積立金の不正・不適切運用は、年金福祉事業団に始まり、それを改めるように年金庁の組織が出来たと理解するが、そして年金庁の長官には民間人(村瀬清司氏)の任用が実現したのであるが、業務運営の不正はその後も発生し、村瀬氏は引責辞任となる模様である。そして、平成22年1月には、社会保険庁を廃止して、「日本年金機構」という公法人を設立するという。その長には、役人の天下りが復活する(=民間からは引き受け手がいない)とも見られている(出所:ア)News Scrap from 2Ch,2006/5/27:イ)社会保険庁http://www.sia.go.jp/kaikaku/index.htm, 2009/04/06)。
 さて、そもそもこの不祥事続きの制度については、これ以上、信賞必罰の制度を内部に持たない無責任体制の官僚にゆだねるのは、もう止めた方が良いのではないだろうか。「日本年金機構」への移行では、同じ過ちの繰り返しとなる可能性が強いのである。一方、民間に任せれば必ずしもすぐに良くなるというものではないのだが、民間の場合であれば、不正が有ればその責任追及がなされる。同じ過ちの繰り返しは、それだけ避けやすい筈なのである。かくて、本件は、自己責任原則に立ち、長期的な改善を目指すべき事案と思われる。401k方式のように、自己責任・自己学習の必要性を伴うものへの移行を進めるべきではないだろうか。ただ、高齢者にはこれからの学習は無理であろうから、そのような人達には、国債のような安全資産での運用を勧奨する他はないのかも知れない。しかしそれでも、これはあくまで移行期間中の問題にとどまるはずなのである。
 また、日本には、資産運用に役立つ情報や、統計が整備されていないという問題点もあろう。こうした点の改善も含め、時間をかけて改革を進めるべきであろう。
 つまり、このような一時のつらい過程を経て、初めて長期安定的な明るい未来が開けるのである。
 b)以前に説明したところであるが、先進国の福祉関係財政支出は、年金3分の1、医療3分の1、その他3分の1であるのに、一方、日本では年金が2分の1、医療が3分の1、残り約17%がその他向けであり、つまり、育児とか、出産補助とか、また、日本では家計の負担になる教育費の公費負担とか、総じて次世代向けの支出が割を食っているようである。そして、まさに此が、少子化進行の1因を成しているとも言えそうなのである。とにかく、保険での逆選択が起こっているのがその証左である。ではどうしたら良いのか。
 c)ここで問題となるのは、現役の50%の年金額を保証するという「所得代替率」を規定する制度であり、その法定を明記した、前回(2004年年金財政再計算時)の改正法が、年金破綻への道を事実上決定づけたと言える点である。
  即ち、この所得代替率を平均所得と見立てる専業主婦のいる標準家庭をモデルとして説明(事実上の定義と)したことで、高所得者層にもばらまき的年金が約束され、つまりは、日本の年金保険制度に対する公費補助が、日本の国力不相応に拡大したことが問題なのである。その結果、現役世代・将来世代(特に多数を占める中低所得層の人達)は、人口減少傾向と相まって、余りにも不公平な老人世代への仕送りを過酷に強制され、ひいては、将来の明るい人生展望をも奪われてしまったというのが現在の状態なのである。この数値推計はやや複雑・難解であるが、拙著『日本の針路・戦略不全システム・「カイゼン」への道』(第4章b)c)節)、当ブログでは '07.6.20~7.25 にその概要を記述した。この公費補助の金額は、国民人口の60%を占める低中所得者層向けは総額の33%に過ぎず、66%は人数では40%にあたる準高及び高所得者層向けになるという問題点を発生させたのである。此が、人口減少傾向下で行われれば、あまりの世代間不公平・格差拡大的公費の使用であることについて、若者世代が不信感を募らせるのは、当然ではないだろうか。
  よって、年金制度の2階建て部分は、民営化し、当然、金額的に大きいばらまき部分の公費支出を節減すべきなのである。此は、人口減少傾向の緩和と相まって、財政均衡化へ向けての金額的に大きな財政収支改善要因と試算される内容である。この支出削減を受ける相対的少数の準高及び高額所得者層にとっては不満が大きくても当然なのだが、格差を縮小するためには、良い代案が見当たらないのである。消費税は、大衆課税であり、貧富の格差をますます拡大させてしまい、少子化や絶滅種対策、つまりはその原因療法としては殆ど役立たないからである。なお、この不満層への補完的対策は後述する。

A若者中心のワークライフバランスの改善
 勿論、上記の施策だけでは、全員参加型の改革推進は出来ない。此とタイアップする施策が、ここで説明する若者中心のワークライフバランスの改善策とその狙いとしての、少子化への好影響期待についてである。ワークライフバランスの改善については、前回(4月1日投稿)分にその理由説明をかなり掘り下げて行った。とくに、現状の日本について言えば、生物学的に見て、20〜35才の年齢層では、この改善が重要である。少子化是正の原因療法であり、従って、日本の将来に明るさをもたらす主要要因の一つとなるものだからである。
 なお、この意見も、日本教からは無視されやすいのではあろうが、日本人も生物の1種で、この意見を無視することは非合理的と言わざるを得ない。
   (注)日本教については、その提唱者の故山本七平氏の著書を参照されたい。なお、拙著『日本の針   
     路・戦略不在システム・「カイゼン」への道』では、第1章、c)節、D項で説明している。なお、ブロ
     グの過去ログからは既に消えている。

Bワークシェアリングの活用……活用すべき措置の内容とその理由
 この項については、前回投稿のブログ説明で、その内容は尽きている。それ故、以下ではその主要着眼点のみを箇条書き的に列挙する。即ち、
 a)上記Aでは、若い世代の労働時間が当面は短縮してしまうが、これを女子及び前期高齢者の労働  
  参加で、この間の過渡期を乗り切ろうという戦略である。
   つまりは、この2週間ほどの間に成立した政経労の合意とは内容の異なるワークシェアリングの制
   度設計の提案である。
  b)まず、長期勤続した被雇用者については、定年制度を違法とする。本人が希望すれば(つまりは勤 
      労意欲がある限りは)、嘱託としての雇用継続が保証される。この場合高齢者は当然能率が落ちる
   から、歩合給のような形で、低賃金となることはやむを得ないものとする。また配置転換は雇用者側
   の権利とも考える。
 c)b)項の実施と同時に、勤労税額控除の制度を導入する(当然税法の改正が必要)。勤労税額控除
   の制度とは、日経新聞平成9年3月19日付け、「大機小機」欄で(ミスト)氏が推奨した制度である。
   その詳細説明は注記に譲ることにして、この制度とは、同氏によれば、
    『勤労税額控除とは、働いて一定の所得を稼ぐと税額控除の形で減税され、勤労意欲が高まると 
   いう制度である。雇用問題に悩んできた多くの欧米諸国が導入し、高い効果を上げている。低所得
   者には給付を行うので、「給付付き税額控除」と称される。いわゆるワーキングプアの生活支援や、
   ワークシェアリングで引き下がる正規雇用者の所得を補填する効果を持つ。』とされている。(『』内
   は記事からの引用)
     筆者としては、この制度を現行定年制以後の勤労者については、例えば55才から70才の高齢者
   については、課税の刻みを高齢者が2階建て年金部分の年金受給より働く方が得だと選択するよう
   な制度として実施するのがよいと考える。このようにしておけば、ばらまき部分の準高・高所得者層
   の年金支給額を減らすよう度改正する場合の抵抗感をかなり軽減できるのではないのか。そして、
   この制度については、少子化のスピードがある程度低下するまでの、つまり、労働者供給の不足が
   ある程度軽減されるまでの、時限措置として取り敢えずは制度化すれば良い。つまり、経過措置で
   良いと思う。将来の明るさを求めつつ、一時の先行投資と考え、改革推進に全員参加を求めるという
   意味を持たせる施策となるものである。
         (注)以下は、勤労税額控除制度の仕組みの詳細説明で、「大機小機」記事からの引用であ  
        る。
                 『単身者を例にとって税(所得税・住民税)と社会保険料の負担額を試算しよう。収入百万 
        円の人は課税最低限以下として税はゼロ、社会保険料は10万円で合計十万円の負担。2 
        百万円の収入では税が10万円、社会保険料が20万円で合計30万円の負担。収入3百万
        円では、税が19万円社会保険料は30万円で、合計50万円弱の負担だ。
         これに対して例えば、百万円以上3百万円以下の勤労所得者に、収入の15%の税額控
        除を与えると、百万円の人は5万円の給付(15万円の控除から10万円の負担を引く)を受
        ける。2百万円の人は差し引き負担無し、3百万円の人は45万円軽減されて、15万円の負   
        担となる。収入が多いほど税額控除が多くなるので、労働インセンティブが働く。この制度   
        が適用開始となる百万円(時給7百円程度で、週30時間労働)迄は働かなくてはならないと
        人々が思うようにもなる。3百万円を超える水準で控除額を逓減させる必要がある。
         受給予定者は市町村に申請し、給付を受けるための審査を経て適格証明書をもらう。そ
        れを確定申告書に添付し、給与所得者は年末調整で、個人事業者は申告を通じて税額控
        除を受ける。控除しきれない部分は、市町村から給付を受けるという制度にすればよい。納
        税者番号がないので、課税最低限以下の人の所得情報を持つ市町村が所得審査を行うこ
        とが前提となる。
         給付部分を少なくするには国税と地方税、社会保険料を一体とした制度作りが必要だ。こ
        れには徴収の一元化につながる利点があることも指摘しておく。  (ミスト)』
                  以上が引用で、本文中の引用と合わせると、囲み記事の前文の部分以外を全て引用させ
        ていただいている。ミスト氏にお許しを請いたい。
  d)上記勤労税額控除制度については、ミスト氏の言うとおり、国税と地方税、社会保険料を一体とし
   た制度作りが必要になる。つまりは、税制の抜本的改革が必要ということである。此とある程度辻褄
   が合うように、専業主婦の就労を妨害するように働いている所得103万円、130万円の壁について
   も、当然同様の対応措置が考案されるべきであろう。即ち、配偶者控除・特別配偶者控除の制度
   は、税額控除型の制度に切り替えることが望ましいのである。当然税制改正が必要となる。
  e)このように、ワークシェアリングにより、より多数の人々が将来の明るさのために労働に参加する方
   向に向うようにシステムを変えれば、公費のばらまき的支出は減少し、国民がより多く働くようになっ
   てこよう。こうした生活様式が定着するならば、その実体面の経済循環は、必ず資金面の循環を伴
   い、金回りが良くなることには間違いあるまい。地道に働けば所得の増加を伴い、経済成長の見通
   しがつくようになると思われる。此は真面目で、継続は力なりという信条を持つ勤勉な働き手にとって  
   は、将来に明るさを確実に感じさせるものになる筈であろう。

 さて、以上の@AB項は、大幅な財政支出の組み替えと国民の生活習慣の組み替えとを同時的に提案している。また、そうしなければ、少子化の進行・絶滅種への道・年金崩壊は避けられないだろうとの論理も同時的に説明している。よって大改革が必要なわけだが、これをやり遂げるには、戦略的配慮を伴いつつ、工程表を作って、計画を実現していかなければならない。上記3点が、マニフェストの主要項目にはいることは、以上の説明からもある程度理解していただけるのではないだろうか。
 そして同時に、この計画を実現、運営、或いは、推進していくメカニズムについても、何らかの工夫が必要になるだろう。CDE項は、この運営・推進の実現に必要となる性質が強い施策なのだが、このC(学校教育)D(社会教育・日本教対策)E(道州制への移行)の各項説明については、上記の説明がすでに長くなったので、次回、4月29日(水)予定に譲ることとする。

posted by 合成の誤謬 at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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