資料15:ことわざ解説「よらしむべし、知らしむべからず」
この諺の原典、孔子の教えの本来の意味は、「指導者は自分の人徳を磨き、民衆の信用・信頼を得て民衆を導かなければならない。政策や政府の情報を隈なく民衆に教え浸透させるのは大変難しく、不可能に近いからである。」にあると考えられている。しかしながら、この表現は本文で記述したように、現代の日本の国家運営体制では、政治の指導者達は自己錬磨の必要性には目を向けているとは見られず、一方、「民衆に政策や政府の情報を教えなくても良いのだ」という方向については、個人情報保護法などにかこつけて、マスコミに対する情報規制強化が懸念される動きがあるように、誤解の方向にむしろ重きが置かれながら、現実は動いているようである。
ところで、経済学的に見れば、孔子の時代・農業社会にあっては、経済の生産力が低く庶民教育など望むべくもない時代であり、最大多数の最大幸福のためには、専ら、指導者の人徳が高いことに期待する以外に道がなかったとの考えは、妥当なことと見られよう。
しかしながら、近・現代の工業社会、その先は知価社会と言われる状況について、改めて複眼思考をしてみたい。生産力が飛躍的に向上し、最大多数の最大幸福に向けての分配が行われれば、現況を放置すれば経済力が有り余り、人口爆発が起こり、宇宙船地球号が、温暖化・環境汚染で、早晩自滅すると予想されるようになっている。また同時に、この生産力の向上に、近代化、民主主義の基盤が生まれてきたとも見られるのである。つまり、経済力の向上は、庶民教育の普及向上を可能とし、従って、市民の自立を可能にし、住民運動のみのお任せ民主主義ではない、市民参加・市民の自治のある民主主義が可能となるし、また、この様にしなければ、宇宙船地球号を自滅から救う道がない、つまりは、最大多数の最大幸福の実現もないと、筆者は考えているところである。

