いよいよ国会が解散され、総選挙戦に突入することになった。麻生総理は、100年に一度の世界的大不況だから、不況対策が最優先で、此までの4回の予算作成・財政支出手当で景気回復を図り、その上で消費税引き上げを行うことを表明し、だから自民党は責任ある政権担当能力がある政党であると発言している。此は論理的に、また、現在の経済情勢に対する政策選択として、正しいのであろうか。
筆者は、この考えは間違っていると思う。だから野党が正しいと言うつもりはないが、このような情勢分析で、政策・戦略を進めてもらっては困ると考える。何故ならば、先ず100年に一度の大不況に備えるのが優先的政策・戦略であると総理は言っているが、今回は海外の論調を見ても、また、不況の端緒である米国においてさえも、今回の不況は大不況(底が深い)というよりは、大停滞(底は深くないが長期に続く)であろうと見られている。つまり、1929年に始まる大恐慌は、過剰生産恐慌の上、世界中に為替切り下げ競争が広がり、不況がスパイラル的に全世界に広がり、かつ深化したという問題であった(この見方は分かりやすくするため、単純化し過ぎかも知れないが)。これに対し、今回の不況は、米国の過剰な住宅投資バブルがはじけたもので、米国には不況原因があるが、そして、米国の不良債権に投資した欧米の投資家・金融機関達は、かなりの痛手を受けたのではあるが、日本としては、投資が不良債権化したことによる痛手は、余り大きくない。従って、日本は米国向け直接間接の輸出市場に縮小が起こることには違いないが、日本は、失われた10年に入る前から、前川報告が述べているように、内需拡大が今後の進むべき道であり、輸出への過度のかつ一方的な依存は、国際摩擦を生むことになるから日本の永続的発展のためには望ましくない(或いは、本命とすべき進路ではない)と考えられていたものである。だからこの際外需が減っても、それは内需で代替すべきものが、ここで減ってきたわけで、そうとすれば、このような方向転換が未だに出来ていなかったこと、つまり、構造改革が進んでいなかったことの方が、日本の将来を見通した場合には、大問題・基本問題の筈なのである。海外からの不況が来れば、これに対する対処も、例えば在庫調整期間中一時的な対症療法があっても良いが、さればと言って此は基本問題の解決策・原因療法ではないから、現在の政策の優先順位を考えるならば、本来的には、構造改革が第1位で、景気対策は、第2位という現状の分析把握が必要だと考えられるものである。
さらに言えば、麻生総理の論理は、筆者・KY人間に言わしむれば、日本教に毒された論理に見える。要は、後で責任を取らないために、太平洋戦争中の軍国主義政府(軍隊は官僚組織の典型である)のように、空気作り・アリバイ作りの作文により国民を戦争へと追い込んでいったのと同じ論理構成である。今となれば、このような戦略は国民に多大の不幸をもたらしたものであったことが明らかであろう。だから、麻生総理が、この間違った戦略と酷似した戦略を掲げ、国民をこの間違った方向へと導こうとする動き方に対しては、一般国民はこれに反対だとの意思表示を今回の選挙ではなすべきではないかと思われる。兎に角、お任せ民主主義では、痛い目を見るのは国民自身だからである。麻生総理・自民公明両党・及び官僚がこのところ進めてきた政策は、日本の近現代史からの学習効果が見られない政策である。失敗からの学習・前進が見られない主張なのである。既得権益の擁護に動くようでは、将来に明るさが感じられないのは当然だろう。そして、此が少子化=日本民族絶滅種化への道であるとすれば、此までの失敗について指導者(与党=自民・公明両党)及びその参謀(=官僚の次官・官房長クラス)に、信賞必罰の処遇が為されなければ、次世代の若者達は、日本民族及び日本の国家を見捨てる以外に、生き甲斐を感じる道を見いだせないことになろう。それにも拘わらず、麻生総理は上記のような発言を行い、自分の考えを述べたようにも発言しているが、筆者から見ると、此は官僚の考えを代弁したものと見える。麻生総理の作った予算を見ると、官僚の天下り先確保のための布石・予算枠が将来分をも含む形で沢山付けられている。これでは、日本の将来に明るさを見いだすことは、若者達は当然のことながら、中高年層においても一般国民ならば、将来に明るさを見いだすことは到底困難と見られるのである。(なお、関連参考意見として、日経・大機小機欄・パピさんの考え方を次回以降にはなるが後述する。)
では、どのような代案が有るのか。
外需依存体質で来てしまったから、外需減に合わせた在庫調整のために、一時的な派遣切りや雇い止めが生じた場合、これに対し失業対策事業をしてはいけないと言うつもりはない。穴を掘って、又、埋めればよいと言うのは大げさではあるが、此とて、官僚の天下り先確保の予算案執行よりは、まだましなものとの考え方をした方が「ベター」であろう。 最近、将来に明るさをもたらす代案が見られないとブログに書いてきたが、民放テレビで、以前NHKこどもニュースを担当していた池上彰一氏が、相続税免除、金利1%の永久国債を発行し、現在国民が預貯金・現金で保有している金融資産をこの永久国債投資へと動員して、将来に向けて現在過大とされる公債残高を償還し、また、将来に役立つ投資を行うという名案があると話しておられた。このような前向きの具体的提案があることは、大歓迎すべきであると考える。このほかにも、各種の具体的提案があって欲しいものである。ただしかし、この池上提案については、筆者としては疑問点もあるので、その点は、後の機会にその問題点を解説しよう。取り敢えずは、このブログで提唱する、マニフェスト案の細目の説明をしてゆきたい。
筆者としては、少子化対策と次世代の教育投資(つまり、米百俵の精神に基づく投資)に最重点を置くべきではないかと思われる。そして、此については、女子の初産は、20歳代で行うのが原則となるよう、かなりの環境整備を、全国民が発想や慣習を全面転換するつもりでその環境整備を、行うべきであろうと考える。野鳥の「とき」が絶滅種になるおそれがあるときに、それを保護することに国民はほぼ全員が合意していると見られる。日本民族が、もう過去30年間くらい継続的に絶滅種へ向かっての歩みを続けているのに、その原因追求が為されなくて良いのだろうか? この点は、都合の悪い点は見て見ぬふりをする日本教に、問題点があるのだし、そこ迄さかのぼって解決策を考えるべきであろうと筆者は考えるものである。
厚労省は、年金制度の問題を、個人の保険料負担額と、その個人が受け取る年金給付額と較べ、その比率が、世代別に、後年世代の倍率が高く、現役世代はその倍率が低くなり、将来世代では、財源を消費税の引き上げで賄わないと、世代間の不公平には対処できないと言わんばかりの、将来予測計数を発表している。日本民族が絶滅種になるかどうかという問題に直面している場合に、こんな損得計算に意味があるのだろうか。此は、滅亡の懸念さえ出ている事態において、国民が知りたい情報を的確に提供しているとは言えない公務員の態度だろう。筆者は国民が知りたい情報を政府は提供出来ていないと考える。だいたい、人口の高齢化や、少子化の傾向、人口構成の逆三角形のような、頭でっかちの形状について、今後の対処策を考える場合に、そもそも現状になじまない、環境条件が違う過去の条件を前提に作った賦課方式という既に陳腐化した年金制度(賦課方式)をかたくなに変えようとしないという、現在の政府姿勢自体が問題点としては重大なのである。人口構成が変われば、世代間の支払いと受給の比率が賦課方式では変わってくるのは当たり前の話で、その予測をするだけの官僚の姿勢は意味が有るものと言えるのであろうか? そうではないだろう。今年の「経済財政白書」はマスコミによればこのような姿勢で書かれているそうだが、官僚はだから何を結論として提言するつもりなのか? マスコミ(日経新聞:7月24日夕刊)でも、白書に対し、将来についての処方箋がないという批評が為されている。つまり、無策の現状につき、責任逃れの言い訳をしているだけと採られても仕方がない白書が出てきたということになる。なお、筆者は、40年ほど前に、経済企画庁に出向勤務した経験があるので、企画庁の作成文書は直接の監督官庁の了解を得たもののみが発表されるという苦労も分かり、この責任は企画庁だけに負わせるのは気の毒とは思われるが、それにしても、現在の政府・役所の無為無策については、国民は如何に責任追及を行うべきかを是非とも考えなければならない問題である。
因みに、麻生首相の本音は選挙対策であろうが、マスコミ(日経新聞7月19日・特集欄)によれば首相は「安心社会実現会議」を官邸に設けたとも伝えている。一方、この記事の表題は、「脱少子化社会道険し」となっている。そして、この記事は、出生率低迷の4つの理由として次の4点を挙げている。即ち、@男性の15%生涯未婚(男性の未婚率が1980年以降上昇傾向持続のグラフ付き)、A女性の41%出産で退職、B夫の家事時間短い日本(主要先進国対比3分の1)、C大学までの子育て費用1人あたり3千万円と高額で、これが少産で、小人数を大切に育てようとの風潮を作っている、と記述している。だから、この4点について、原因療法となる具体策をそれぞれ例示するのが、選挙に当たってのマニフェストに書かれて欲しい項目となるのが筋ではなかろうか。そして、こうしたマニフェストを掲げ選挙を行い、此で公約が果たせなければ、次の選挙で敗れ下野するというのが、近代社会民主主義のルールである筈であろう。此は理想論的ではあるが、このような努力を積み上げてゆかなければ、日本に生き甲斐のある明るい社会など作れないと思われる。
このような当ブログ立場から述べれば、年金制度は、セイフティーネット(安全網)を充実させながら、それ以上の部分については、世代別の損得計算よりも、 個人差のある人生で、自分の生活設計に合うような選択の自由を持ちながら、自分の満足感を高めうる道が有ることが自由な近代市民社会ではずっとずっと大切なことの筈である。だから、官僚が画一的な尺度で、世代間の公平・不公平についてしか、データを公表していないということは、国民の知りたいことに十分答えていないという重大欠陥を持つということである。あまりの怠慢と不誠実に対して、国民としてはそのような監督官庁に信賞必罰の態度で臨めと、次期政権に注文を付けることが大切であるし、マニフェスト選挙は、信賞必罰の方途導入についてもこれを最重要争点の一つに掲げて欲しいのである。さもないと、筆者は、大平洋戦争で敗戦へ・絶滅種へと向かって濁流・奔流に巻き込まれた悲劇を、また繰り返すのかと暗澹たる気持ちにならざるを得ない。次世代の若者達も、暗澹たる気持ちになっているのも、さもありなんと思えてくるのである(注1)。現実に目を向けると、厚労省は、人口推計でも、国民を誤解に導くような計数発表を行っているが、年金会計についても、国民が自分に合わせた生活設計をしたいのに、これをゆがめさせるような計数発表しかしていないという、国民にとってはまことに厄介は官庁となっている。厚労省は分割してはどうかとか、「厚労省は分割より廃止」(注2)せよという意見もマスコミには採り上げられている。
(注1)経済評論家勝間和代氏の講演で聴取、配付資料では、2008年1月12日の共同通信、同
年に成人式を迎える若者の43%が、親の世代に較べ自分たちの生活は悪くなると考え、さら
に自分たちの子供の世代では生活はさらに悪くなると答えた人が44%に上った。結婚情報サ
ービス会社「オーネット」による意識調査。
(注2)日経新聞6月22日「領空侵犯」欄、松井証券社長松井道夫氏の意見。
少子化との関連で、統治機構がセクショナリズムで機能不全に陥っている例として、厚労省所管の保育園と、文科省所管の幼稚園との一体運用に支障があることも報道されているが、こうした点を背景に待機児童を無くすための対策が一向に進まないという現実がある。厚労省の問題点は、前節でかなり具体的に述べたが、文科省も問題点の多い役所である。このブログでも、既に昨年来、本年4月から始まった「ゆとり教育」の是正措置、これに伴う学習指導要領の改訂が、相当な方向音痴であることを取り上げているが、最近の週刊ダイアモンド(7月25日号)の記事によると、中央官庁が現場の実状に疎く、施策が方向音痴になるのもいわば当然と思われる実情報告が記載されている。このブログでは、既に日本の統治機構は3流という表現を使ったと記憶するが、これを少しでも「カイゼン」するためには、多分その具体策優先順位1位のグループに、厚労省と文科省の首脳人事権を取り敢えず変えることが望ましいと見られる。つまり、かっての小泉改革で、産業再生機構について、斉藤淳現東証社長の下で産業再生機構が不良債権整理と産業再生を良好なパフォーマンスで行った事例があり、日本民族の絶滅種対策という具体的・包括的な問題点解決に早急に手を着けるためには、取り敢えずは、信賞必罰の責任追及が一般国民にも分かりやすい形で行える問題点を抱えている、厚労省と文科省から手を着けてゆくことが、望ましいと見られる。また、これ等の両省は、少子化対策の原因療法に関係の深い、厚生年金制度改革・格差固定を招きかねない教育制度運営をそれぞれ所管しており、取り敢えずこの対策を先行させることについて、その必要性も、周囲からの要望や支持が強いと見られるからである。これに対し、これを全面的な公務員制度改革として実施しようとすると、その手順として通常は、かなりの検討期間を必要とすることになるし、しばしば検討は行ったが、答申が両論併記であったり、答申はまとめられず、その答申も横槍に惑わされ、日本教の空気にも揉まれ、政府首脳もまとめきれず、結局何も前進が得られなかったということになりかねないというのが、既往日本の近現代史の実態だったと考えられる。少なくとも、日本教の視点から今後の推移を予測すると、こうした正攻法の行き方には、余り楽観的な答が出せないのである。ついこの間までのゆとり教育の是正措置しかり、此までの5年ごと年金再計算時の改革案・是正措置等の動き然り、いずれも日本の将来を明るくする動きを作れなかったのである。(注)
(注)その内容が全て正しいとは言えないが、何故小泉・竹中・斉藤惇のコンビが、成功の結果をも
たらしたかは、竹中平蔵著「構造改革の真実・竹中平蔵大臣日誌を読むと、日本教の中での
改革成功の秘訣・テクニックをかなり読み取ることが出来る。
この様な前提を基にすると、マニフェストには、少子化対策を中心にして、若者の労働時間規制、労働力確保のためのワークシェアリング、長期雇用者の定年選択制(当然厚生年金制度の抜本改革となる)、といった、日本の将来の明るさにつながる具体策の数値目標が書かれてしかるべきであろう。こうした方向を支える教育内容の改訂・また、教育委員会制度という問題点等にも、統計整備やケーススタディーの積み重ねという形で「カイゼン」を側面から支える仕組みの整備も課題となると見られる。
予定からは脱線してしまったが、この先は次回にさせていただく。
2009年07月27日
マニフェスト関連:少子化対策について、7/27日投稿
◎マニフェスト関連:ワークシェアリングと整合的な労働需給対策、7月27日投稿
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/124405387
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/124405387
この記事へのトラックバック

